「歩きたくても、歩けない」人がいる社会で。

私たちは毎日、何の気なしに歩いています。

駅まで、スーパーまで、子どもの送り迎えに――

でももし、目が見えづらくなったら、その一歩はどうなるでしょうか。

日本には約32万人の視覚障害者がいます。

その方々が自分の力で安全に外を歩けるようにサポートする専門職、それが「歩行訓練士」です。

けれど、全国で実際に活動している訓練士はわずか189人。

人口約3万人に1人という計算です。

そのため、歩行訓練を受けたいと希望しても、

数年待ちだったり、そもそも地域に訓練士がいなかったり――

「歩けるようになるための訓練」が、受けられない人が今もたくさんいます。

白杖を持って歩くこと。

それは、「自由に暮らす」という、ごく当たり前の願いです。

見えにくさがあっても、一人ひとりが安心して暮らせる社会をつくるために。

まずは、この“歩けない理由”が制度や人材不足にあることを、

多くの人に知ってもらいたいのです。

あなたが見えているこの道が、

誰かにとっては遠いまま、かもしれません。