視覚障害者が地域で安全に暮らし、自立した生活を送るために、

欠かせない支援のひとつが「歩行訓練」です。

白杖を使った移動方法を学び、公共交通機関や交差点を安心して利用できるようにする。

その支援を担うのが「歩行訓練士」という専門職です。

しかしながら、2024年の調査によると、全国で実際に訓練業務に従事している歩行訓練士はわずか189人。

視覚障害者は約30万人いるにもかかわらず、支援の担い手が圧倒的に不足しています。

「訓練を受けたくても数年待ち」

「地域に訓練士がおらず、そもそも利用できない」――

こうした声は、今も多くの自治体で聞かれています。

厚労省の自立訓練事業では、障害者向けの生活・機能訓練が提供されているものの、対象は全障害種別であり、視覚障害に特化した支援はごく限られています。

広島市の令和3年度データでは、歩行訓練を新たに受けた視覚障害者は27人にとどまりました。

制度はあっても、実際に「訓練が届く」かどうかは別問題です。

地域に訓練士を呼び込む仕組み、委託事業の活用、広域連携での支援体制整備など――

今後、自治体が果たせる役割は決して小さくありません。

地域の視覚障害者が「歩ける」未来を、制度の中にどう組み込んでいくか。

それは私たち行政職の想像力と実行力にかかっています。

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