AIが私たちの暮らしに深く入り込む今、視覚障害者の移動を支えるテクノロジーも大きく進化しています。スマートグラスやAIナビ、障害物検知白杖、自動運転車など、夢のような支援機器が次々と登場しています。しかし、これらの機器を「使いこなし」、安心して街を歩く力につなげるには、歩行訓練士の存在が欠かせません。

歩行訓練士は、利用者一人ひとりの生活環境やニーズに合わせて、機器の操作法や歩行技術を指導し、段階的に自信を育てます。AIが経路を示しても、不安や恐怖を軽減するのは人との対話や体験の積み重ねです。また、「混雑を避けたい」「信号音が聞こえにくい交差点は怖い」といった細やかな要望に応じ、個別性を尊重する柔軟な指導ができるのも歩行訓練士ならではです。

さらに、外出することは人権であるという視点を社会に広げる役割も担っています。AIがどれだけ進んでも、地域や周囲の人々の理解と協力がなければ安全な外出は成り立ちません。歩行訓練士は利用者の技術指導にとどまらず、社会全体に働きかける「人権の伴走者」でもあるのです。

災害や停電でAIが使えない状況でも、基本的な歩行技術があれば命を守ることができます。AI時代だからこそ、歩行訓練士は「AIと人をつなぐ橋」として、安心と自立を支える専門職としての意義を一層強めています。

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