企業のマネジメントにおいて「圧をかけること」は、しばしば成果を出す手段として選ばれがちです。しかし、実際にはそのやり方が部下の自主性や意欲を奪ってしまうことも少なくありません。パナソニック コネクトの出戻り社長は、この点を大きく見直しました。彼は米国勤務や外資経験を経て帰任した際、上からの押しつけや威圧感ある伝え方では人は動かない、むしろ「自ら考えて動ける環境」をつくることが重要だと気づいたのです。
その象徴的な変化が、社員朝礼に現れました。かつては眠気を誘い、居眠りする社員まで出ていた場が、話し方や伝え方を工夫することで一変。「居眠りゼロ」となり、社員の集中度が高まったといいます。その秘訣は、難しい専門用語を並べ立てるのではなく、誰にでも分かる具体的な言葉で語ること。そして「問いかけ」や「共有」の姿勢を取り入れ、聞く側が自分事として考えやすくする工夫です。
圧をかける代わりに、共感と理解を軸にした話し方を実践することで、社員の意欲と一体感が自然に生まれてきます。これは、企業に限らず福祉や教育の現場でも共通する学びではないでしょうか。相手を「動かす」のではなく、「ともに動いていく」姿勢こそが、組織やチームの力を引き出す鍵になるのです。


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