白杖を手にした生徒が歩く姿には、充実感や達成感がにじみ出ています。しかし、その歩行をよく観察すると、技術は拙く、危なっかしい場面が少なくありません。本人は「自分はできる」と信じていますが、その自信は儚く脆いものでした。背景には、中学部時代に受けた盲学校教諭による歩行指導があります。専門性を欠いた指導のまま「歩ける」とされてしまった結果、誤った歩行技術を身につけてしまったのです。
このようなケースは決して一人だけではなく、一定数の盲学校卒業生に見られるのではないか――そう考えると、大きな怖さを覚えます。本来なら歩行訓練士が基礎から正しく指導するべき場面で、専門性を持たない教員が限界のある指導を行うことで、結果的に生徒の安全や自立が損なわれてしまうのです。
だからこそ、こうした時こそ外部の歩行訓練士の導入が必要です。盲学校の内部だけで完結させるのではなく、専門職による支援を取り入れることで、正しい歩行技術を身につけられる環境を整えることができます。さらに、外部訓練士は地域の福祉機関やリハビリセンターとつながっており、卒業後の支援へスムーズにつなげられるという大きな利点もあります。
子どもたちが持つ「歩ける」という自信を、儚いものではなく確かな力へと変えていくために。盲学校における歩行指導は、専門性を持つ外部訓練士との協働が不可欠です。それこそが、安全で自立した未来をひらく確かな道筋になると、私は考えています。


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