「コンビニは社会インフラだ」とよく言われます。災害時のライフラインや高齢者の買い物支援、地域の安心拠点としての役割が注目されるからです。しかし、現場で日々店舗を運営しているオーナーの声に耳を傾けると、そこには理想と現実の大きなギャップが見えてきます。

まず、オーナーの実態は過酷です。人手不足の中で自ら長時間シフトに入り、休みなく店舗を回す。経営者であるはずが、生活は苦しく、心身ともに疲弊している人も少なくありません。本部からの指示は強く、価格や商品の選択、営業時間に至るまで決定権は制限され、オーナーの裁量はごくわずか。看板を掲げている以上、自主性はあるようで実際には縛りが多いのです。

一方で、地域の住民からは「なくては困る存在」と期待されます。買い物弱者や高齢者への支え、災害時の拠点としての機能。確かに社会的な役割は大きいのですが、それがオーナーの収益や労働条件に十分反映されているとは言えません。結果として、地域貢献と経営の板挟みに苦しむ現実があります。

本当に「社会インフラ」として機能させたいなら、現場を支えるオーナーの声を経営に反映させることが不可欠です。現場の負担に目をつぶったまま「便利さ」だけを享受するのでは、持続可能なモデルにはなりません。地域とともに歩むコンビニを育てるために、社会全体でその仕組みを見直す必要があるのです。

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