移動は、生きる力の象徴です。歩けること、出かけられることは、福祉の現場でもっとも基本的な「自立」の表現でもあります。近年、国内外でその移動支援に革新が起きています。
日本では、AIとIoTを活用した自立支援型モビリティが注目されています。たとえば空港で導入が進む「WHILL自動運転モビリティ」は、目的地を設定すればAIが安全にルートを案内してくれる電動車いすです。また「AONavi」は、屋内外の地図とAI画像認識を組み合わせ、視覚障害者の屋内ナビゲーションを可能にしました。さらに衛星「みちびき」を活用した高精度GPS白杖ナビの研究も進行中です。
一方、地域レベルでは、スマホ予約型のオンデマンド交通やボランティア送迎のICT化が広がっています。特に公共交通が減る地方では、AI配車が高齢者や障害者の“足”を守る役割を果たしつつあります。
海外に目を向けると、イギリスの「Waymap」はスマホのセンサーだけで地下鉄構内をナビし、アメリカの「Aira」は遠隔オペレーターがリアルタイムで視覚支援を行います。スペインの「Navilens」は、カラーマーカーを読み取るだけで距離や方向を音声で案内。これらはすべて「情報の自由」を支える仕組みです。
AIが支えるのは“歩く力”だけではありません。人と街、人と人をつなぐ新しい「移動の福祉」。これからの社会は、移動そのものが支援になる時代へ向かっています。


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