「忘れ物が多い子」は、つい「注意力が足りない」「だらしない」と見られがちです。しかし、ある小学生の女の子が大きく変わった背景には、叱責でも訓練でもなく、“よい習慣を支える仕組み”がありました。

担任の教師が保護者に伝えたのは、「本人を変えようとしないでください」という言葉。必要だったのは、朝の慌ただしい時間にすべてを任せることではなく、前日の落ち着いた時間に準備を整える環境づくりでした。

そこで始めたのが、前日に持ち物を一緒に確認する習慣と、チェックリストによる“見える化”。文字や絵で示されたリストを見ながら、自分で確認する流れを作ったのです。すると、忘れ物は自然と減っていきました。

大切なのは、忘れ物が減ったことそのものよりも、「できた」という成功体験が積み重なったこと。周囲から認められ、自信が育ち、行動が定着していきました。

私たち支援の現場でも同じことが言えます。人を変えようとする前に、環境と習慣を整える。できない理由を探すより、できる仕組みを一緒に作る。

支援とは、その人が力を発揮できる“土台”をそっと差し出すことなのだと思います。

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